『2222HIT記念』 もう一つの伝説?

 

きらめき高校には一つの伝説がある・・・

「卒業式の日に伝説の樹の下で、女の子から告白したカップルは永遠に幸せになれる・・・」

しかし、もう一つの隠された伝説があった。

それは・・・

 

「あの〜、朝日奈さん?少々お時間はございますでしょうか?」

昼休み、ゆかりは親友である朝日奈夕子に話し掛けた。

「いいけど・・・、直ぐ済むんでしょ?早く行かないと伝説のヤキソバパンが買えなくなっちゃうぅ〜〜」

夕子はゆかりのゆったりとした口調にイライラしているが一応親友なので、ゆかりの話を聞く事にした。

「・・・あの〜〜ですねぇ、・・・えぇ〜〜〜っと・・・ですねぇ、どのように〜お話したら〜、よろしいのでしょうかねぇ・・・」

ゆかりは右の頬に右の人差し指を当て考え込んでいる。

「ちょっと!ゆかりぃ〜〜、話す事考えてから、話し掛けてよねぇ!!」

夕子は足をバタバタさせながら、ゆかりに文句を言う。

(ああぁ〜〜〜、もうこの時間じゃ、買えないよぉ〜〜〜)

『伝説のヤキソバパン』・・・一日に売り出す数、25個。

大して美味くは無いのだが、これを買う事が食べる事より、一種の流行のようになっていた。

当然、夕子も狙っているのだが、いつもいつも昼休み直後にゆかりに捕まってしまい、

まだ、食べた事は一度も無かった。

「放課後・・・朝日奈さんは・・・お暇でしょうかぁ〜〜〜」

「今日?・・・忙しいわよ」

夕子は心の中で怒りながら、ぶっきらぼうに答えた。

「それでしたら〜〜、しかたありませんねぇ〜〜。他の方に〜ご相談・・・いたしましょう〜〜」

ゆかりは教室から出ようと、夕子に背中を向け、ゆっくりと歩き出す。

(え!!相談?なんで先に言わないよぉ!)

「ゆかりぃ〜〜、話なら聞いてあげるからぁ!!」

夕子は親友に対して、冷たくあしらった事に負い目を感じ、ゆかりの背中に声を掛けた。

ゆっくりとゆかりは夕子に顔を向けた。

「本当ですかぁ〜〜」

「で、何なのよ」

夕子はゆかりに近づき、周りに聞こえないように尋ねた。

「今夜・・・、朝日奈さんの・・・所に、お泊りする・・・という事に〜、して欲しいのですけれども・・・」

「ふ〜〜ん、お泊りねぇ〜〜・・・・・・え゛っ!!!!」

ゆかりはどちらかと言うと・・・というより、夕子よりは何百倍も優等生だが、

その超劣等性の夕子がビックリした。

「へぇ〜〜、そんな伝説もあったんだぁ〜〜」

情報通の夕子も知らない、もう一つの伝説。

「そうなのです・・・、おとうさまは・・・絶対に、お許しにはならないので・・・」

「そういう事なら、任せて!!」

夕子は自分の胸をドン!と叩いた。

「ゲフッ!ゲフッ!ゲフッ!」

 

夜中、きらめき高校の美術室

「ねぇねぇ、ゆかりぃ〜、マジでホントなのぉ〜〜」

暗い校内で夕子はビクビクしながら話し掛ける。

「ええ・・・あと少しですよ・・・」

その反面、ゆかりは怖がるそぶりも見せてない。

時刻は10:21分

「そろそろ・・・、準備しましょうか・・・」

そう言って、ゆかりはポケットから高級そうな手鏡を出し、

美術室の大鏡の前に立った。

夕子は震えながら、ゆかりの後ろにピッタリとついた。

10:22分

「今ですわ〜〜」

ゆかりは普段のゆっくりな動作ではなく、素早く大鏡の前に手鏡を向けた。

夕子はゆかりの肩越しから大鏡に映った、手鏡を見た。

「・・・あっ!!!」

大鏡の中に映った手鏡には、人影が写っていた。

「あああ・・・、ホントだぁぁ!!!」

段々と人影が大きくなってくる。

手鏡を持っている、ゆかりの手がガタガタと震え出す。

その震えは、手鏡の振動だった。

「ゆ、ゆかりぃ〜〜〜」

夕子は泣きそうな顔で、ゆかりにしがみつく。

「大丈夫ですよぉ〜〜」

ゆかりは嬉しそうだ。

手鏡の中の人影は、ゆかりが持っている手鏡を内側から叩き割った。

バリィィィィィ〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!!

音とともに、手鏡の中から、映っていた人影が現れた。

「♪♪♪♪♪♪」

ゆかりは頬を赤く染めながら、その人影を見つめた。

「・・・やぁ」

その人影はゆかりに軽く挨拶し、近づいた。

「ああぁぁ〜〜〜、お会いしたかったです・・・」

ゆかりもその人影に近づく。

抱きッ!!

その人影とゆかりの熱い抱擁。

「ああ・・・Kuma'様・・・」

「ゆかり・・・」

時刻は10:22分

すなわち『22:22』

ああ〜2222HIT(笑)

Kuma'様と呼ばれた人影とゆかりは、腕を組みながら美術室を出て行った。

 

もう一つの伝説・・・

「22:22、美術室の大鏡に手鏡を合わせると、将来を誓い合う人が半ば強引に召還される・・・」

 

「まじ?・・・ねぇ、まじ?・・・」

砕け散った鏡の中で立ちすくんでいる、夕子が何度も呟いた・・・

 

END

 

 

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